チャンス到来⁉事業再構築補助金に新枠登場!
|2021.08.09
事業再構築補助金第3回公募と事業計画書のポイントについて解説します。
事業再構築補助金の第3回公募が7月30日から始まりましたね。今回から新たに最低賃金枠などが新設されました。
何といっても最低賃金枠については採択率を優遇する旨が中小企業庁から公式に発表されていますので個人事業主や中小零細企業にとってはまたとないチャンスといえるでしょう。
この記事では事業再構築補助金の概要や第3回公募で新設された最低賃金枠の活用について解説していきます。
事業再構築補助金のポイントを押さえて補助金をゲットしましょう!
なお、今回大規模賃金特別枠も新設されていますが、従業員101人以上でかつ150社限定のためこの記事では説明を割愛します。
目次
(1)そもそも事業再構築補助金とは
ポストコロナ・ウィズコロナの時代の経済社会の変化に対応するため、中小企業等の思い切った事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的とする補助金額最大1億円の大型補助金で、令和3年年4月から第1回公募が開始された新しい制度です。
(2)第三回公募からの主な変更点
①最低賃金枠の創設
最低賃金枠を創設し、業況が厳しく、最低賃金近傍で雇用している従業員が一定割合以上の事業者について、補助率を3/4に引上げ(通常枠は2/3)、他の枠に比べて採択率を優遇。
②通常枠の補助上限の見直し
最低賃金の引上げの負担が大きい従業員数の多い事業者に配慮するため、従業員数が51人以上の場合は、補助上限を最大8,000万円まで引上げる(従前は最大6,000万円)。さらに、従業員数が101人以上の場合には、補助上限を最大1億円とする(「大規模賃金引上枠」の創設)
③その他見直し
① 売上高10%減少要件の対象期間を2020年10月以降から2020年4月以降に拡大する。
② 売上高は増加しているものの利益が圧迫され、業況が厳しい事業者を対象とするため、売上高10%減少要件は、付加価 値額の減少でも要件を満たすこととする。
③ 本補助金を活用し、新たに取り組む事業の「新規性」の判定において、「過去に製造等した実績がない」を「コロナ前に製造 等した実績がない」に改める。
詳細はこちら。
(3)「最低賃金枠」は採択されやすい
今回の事業再構築補助金第3回の中でもとくにオススメが新たに新設された「最低賃金枠」です。
〈最低賃金枠のメリット〉
- 補助率が高い
- 加点措置がされ採択率が高い
- 不採択になっても「通常枠」で再審査してもらえる。
お勧めする一番の理由が何と言っても加点措置がされ採択率が高いことです。
第一回採択率を見てみると、通常枠は30%、特別枠は50%程度でした。
事務局側が加点措置により優遇すると公表している以上、最低賃金枠は前回の特別枠の採択率よりかは高い採択率になるのではないかと思います。
最低賃金枠に該当する事業者は是非とも今回新設された最低賃金枠の活用をしたいところです。
(4)最低賃金枠の申請要件
さて今回の第3回公募から最低賃金枠が新たに創設されました。この最低賃金枠では加点措置を行い、緊急事態宣言特別枠に比べて採択率において優遇されることが公表されていますが最低賃金枠の申請要件を具体的に見ておきましょう。
①売上減少要件(付加価値額でも可)
2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少しており、2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して5%以上減少していること。
②事業再構築に取り組む
③認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する
事業再構築に係る事業計画を認定経営革新等支援機関と策定。補助金額が3,000万円を超える案件は金融機関(銀行、信金、ファンド等)も参加して策定する。金融機関が認定経営革新等支援機関を兼ねる場合は、金融機関のみ。
補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(グローバルV字回復枠は5.0%)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(同上5.0%)以上増加の達成を見込む事業計画を策定する。
④最低賃金の引き上げ
補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引き上げること。
⑤従業員数の増員
補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、従業員数を年率平均1.5%以上(初年度は1.0%以上)増員させること。
なお、従業員数別の補助金額と補助率は以下の通りです。

(5)採択率を上げる事業計画書の書き方
ここからは採択率を上げる事業計画書の書き方について解説していきたいと思います。
まず第一回の事業再構築補助金の採択率は通常枠で約30%と事前の予想より低い結果でした。採択率が低くなった要因について行政事業レビューで以下のように指摘されていました。
■そもそも「指針にあっていない」
■事業として実現可能性がない
■顧客規模の積算根拠が甘い等々
レビュアーの人達も中々手厳しいですね。
ですが裏を返せば、『指針に即してあり、顧客規模の積算根拠を示した、実現可能性にしっかり根拠のある事業計画書』であれば採択しますということでしょう。
それでは具体的に採択率を上げるための事業計画書の書き方のポイントを解説してきます。簡単にまとめると以下の2点に要約されます。
①事業計画が事業再構築要件を満たしていること(形式要件)
②事業計画の実現可能性が高いこと(実質要件)
まず1.事業計画が事業再構築要件を満たしていること(形式要件)についてですが、
これは当たり前のことですが、事業再構築の手引きを読み込み事業再構築の類型の選択とそれぞれの要件に当てはまった事業計画書となっていることを確認しましょう。
第一回公募で「指針に合っていない」事業計画が多かったと指摘されているので相当数の不適格な申請があったと思われます。
今回の事業再構築ではまず類型を選択し、次に各類型ごとの要件を満たす必要があり、手順が複雑になっていますので注意が必要です。
次に2.事業計画の実現可能性が高いこと(実質要件)についてですが、
まず基本的な方針として中小企業庁の村上氏は、事業再構築補助金事務局が公開している動画の中で、
「新たな製品・サービスを書くとき、(事業計画書に)いろいろ書かなくていいです。むしろ今まで何を作っていたか。今度は何(新らしい製品)を作ります。ということを記載して欲しい」
とおっしゃっておりましたので、事業計画書は内容を簡潔に記載することを心がけましょう!
次に具体的な書き方のポイントですが、事業再構築の実現可能性について次の3つの視点から掘り下げて記載しましょう。
❏新たな製品・サービス
今までの製品・サービスとの違い。何故新たな製品・サービスとして、それを選択したか。その理由。
❏確かな技術
新たな製品・サービスを顧客に提供するためのナレッジやノウハウ、経験や設備があること。
❏顧客規模について
新しい顧客はどの程度いるのか。顧客獲得のコストと成果は見合っているのか。投資対効果があること。
上記の3点を軸に新事業の実現可能性がしっかりとあることを簡潔に記載しましょう。
(6)最後に
今回の事業再構築補助金は補助金額が大きく魅力的な制度である一方、補助金が入金されるまでの間は融資を受けるなどして資金繰りを確保しないといけません。自己資金が手厚い企業であれば問題ないですが、手元資金に乏しい場合、金融機関からの借入が必要になってきます。ですから今回の事業再構築補助金では補助金額が3,000万円を超える場合には金融機関の参加がマストになっているのでしょう。
補助金額入金までの間の資金を本当に調達できるのか?返済能力がしっかりあるのか?といった項目も重要な審査ポイントになっています。
補助金目当てで身の丈に合わない事業計画では今回の補助金は通らないと思います。
事業者としての過去の実績や新事業の内容、実現可能性がしっかりとあることを記載することが肝心です。
もし事業再構築補助金で分からないことや聞いてみたいことがありましたらお気軽にお問い合わせください。当事務所は経済産業省認定支援機関です。