労働者派遣事業の監査証明ってどうやって入手するの?初めての監査で必要な書類とは?

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2021.07.29

平成27年派遣法改正で「一般労働者派遣事業」および「職業紹介事業」(以下、一般労働者派遣事業等)について、

新たに許可申請または許可の更新しようとする会社は、公認会計士または監査法人(以下、会計士等)による監査証明が必要になるケースが出てきました。

よくあるケースとして監査証明が必要なことや認可要件を知らずに事業を進めてしまい、

慌てて監査証明が必要となる場合があります。

ここでは労働者派遣事業の監査について認可要件や監査の注意点など詳しく解説していきます。

1.監査が必要になった背景

事業者が労働者派遣事業を行うにあたっては、厚生労働省の許可が必要になりますが、

この許可を得るためには、所管の労働局へ申請書類を提出する必要があります。

これは平成27年9月、派遣法案が可決され、特定派遣が廃止。

特定派遣事業をするにあたっては資産基準も必要なく、認可制でしたが、

この改正を受け派遣事業は許可制となり、資産要件をクリアしないと事業に従事できなくなりました。


また派遣事業の許可を得ていない会社との取引は罰則対象となり、

派遣業と許認可とは切っても切れ離せない関係となりました。


「一般労働者派遣事業」および「職業紹介事業」(以下、一般労働者派遣事業等)について、

新たに許可申請または許可の更新しようとする会社は、公認会計士または監査法人(以下、会計士等)による監査証明が必要とされました。

(厚生労働省 「労働者派遣事業を適正に実施するために-許可・更新等手続マニュアル-」)


監査証明の依頼は公認会計士又は監査法人に依頼が必要です。税理士ではない点はご注意ください。

2.監査証明が必要な場合

人材派遣業は雇用の有無で大きく2種類に分類されます。

自社で一旦雇用しクライアント先へ人材を派遣する形態を「一般労働者派遣事業」と言いますが、

これに対し、自社では労働者雇用せずにクライアント先に報酬を得て紹介する事業を「有料職業派遣事業」と言います。

注意点としては一般労働者派遣事業等の認可要件が、

一般労働者派遣事業と有料職業派遣事業でそれぞれ異なっているという点です。

では監査証明が必要になる場合と不要な場合、それぞれの条件を見ていきましょう。

(1)監査証明が必要になるケース

年度決算書では 下記の要件をすべて充足していなかったものの、

その後の中間又は月次の決算書において、下記の要件をすべて充足する状況に至った場合は、

その中間又は月次の決算書に公認会計士による監査証明を添付して労働局による審査を受けることとなります。

a)基準資産要件

・一般労働者派遣事業
1事業所当たり基準資産額2,000万円以上

・有料職業紹介事業
1事業所当たり基準資産額500万円以上(更新時350万円)

b)負債比率要件

・一般労働者派遣事業
基準資産額が負債総額の1/7以上

・有料職業紹介事業
なし

c)現金預金要件

・一般労働者派遣事業
1事業所当たり自己名義の現金および預金額1500万円以上

・有料職業紹介事業
自己名義の現金および預金残高が、150万円+(職業紹介をする事業所数-1)×60万円

(2) 監査証明が不要なケース

上記の要件を直近の決算書ですべて満たしていれば公認会計士または監査法人による監査証明は不要です。

3.監査証明書の種類

労働局への申請内容が新規取得か更新かで必要になる監査証明の種類が異なってきます。

この点は監査を依頼する公認会計士に事前にしっかりと伝えておきましょう。

(1) 独立監査人の監査報告書

新規取得の場合、独立監査人の監査報告書が必要になります。

後述する合意された手続きと比べ監査対象範囲及びその検証の深度が深く、

その分監査報告書発効までに時間と手間がかかる点に注意してください。

事前に監査で依頼される必要書類は準備し、監査報告書をスムーズに受け取れるよう

公認会計士と十分なコミュニケーションを取ってください。

(2) 合意された手続き実施結果報告書

更新の場合、合意された手続き実施結果報告書が必要になります。

財務諸表全体の適切性を確認する独立監査人の監査報告書と異なり手続きが軽減することから、

その分リーズナブルな報酬でご依頼することができます。

「合意された手続」とは、公認会計士が依頼者との間で事前に調査手続の詳細について合意し、

その合意された手続を実施して結果を報告する業務をいいます。

「合意された手続」の内容と結果を記載した報告書が「合意された手続実施結果報告書」です。

4.監査証明の流れと必要書類

ここでは監査証明の基本的な流れと一般的に必要となる書類について説明します。

一般的な監査証明の流れは以下になります。

  1. お問合せ(お客様)
  2. ヒアリング(ご面談orお電話)
  3. お見積り(会計事務所)
  4. ご契約(双方合意のもと)
  5. 資料のご提出(お客様)
  6. 監査手続(会計事務所)
  7. 監査報告書の発行(会計事務所)

一般的に監査報告書の発行までは資料提出後3,4日程度要しますが、事前に資料を準備しておくことで時間の短縮が可能です。

監査証明で必ず必要となる資料は以下の通りです。

NO資料名
1合計残高試算表(月次/中間)
2直近事業年度の法人税申告書
3直近事業年度の決算書
4対象月次決算書の期間における総勘定元帳(※)
5履歴事項全部証明書
6定款
7対象月次決算書の預金残高に関する通帳又は残高証明書

※総勘定元帳の中からサンプルで個別に検討する取引記録(請求書・領収書等の証憑書類)を追加で依頼します。

個別資料については監査人からリクエストが来てから準備しましょう。

5.料金

最後に監査証明業務での費用になりますが、当事務所では以下の料金体系としております。

・新規取得の場合 16万円

・更新の場合 10万円

※上記金額は税込み表示です。


なお会社規模やスケジュールによって増額させていただく場合がございます。

監査証明には、発行者側にも責任やリスクが伴うため、監査に十分なリソースをかけなければならない点をご了承ください。

6.監査への理解

監査証明を依頼すれば100%監査証明がもらえるわけではありません。

監査の過程で簿外債務や貸倒引当金の計上が必要となるケースが発見される場合には決算書の修正をお願いする場合もあります。

修正した場合の決算書が認可要件を充足しないことになると、結果として認可がおりないことになります。
このようなケースは稀ですが、監査という性質上決算修正が必要になる場合もあるということを予め理解しておく必要があります。

最後になりますが、今現在要件を満たしていない方でも、増資や借入の早期返済などの対応策を講じることで要件を満たし認可が可能になる場合もあります。

労働者派遣事業の監査証明でお困りのことなどありましたら当事務所までお気軽にお問い合わせください。