法人化は自分でできる?法人化の手続きと費用について

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2021.09.14

最初から法人でビジネスをスタートする人もいますが、多くの場合まずは個人事業主からスタートする人の方が多いと思います。

スタートはどうであれビジネスが軌道に乗りだしたら、個人事業主の場合、所得税負担や社会保険負担がとたんに増えてきます。

そうなってくると「そろそろ法人化した方が良いのかな??」と考え始める時期だと思います。

そこで今回の記事では実際に自分で手を動かして法人化する場合の手続きや費用について解説していきます。

法人化して賢く節税していきましょう!

(1)法人化とは

まず初めに法人化について見ていきたいと思います。

個人事業主の事業を法人化することを「法人成り」と言ったりします。

ビジネスが軌道に乗ってきたら法人化した方がデメリットよりメリットの方が大きくなります。

一般的に法人化した方が良いとされる損益分岐点は所得ベースで年間600万円以上と言われていますが、

できれば安定的に700万円以上の所得が見込める段階に入ってからの方が無難です。

法人化には各種手続費用や手間もかかるため明らかに法人化のメリットが出てきてから法人化に取り組んだ方が良いからです。

また、最近では個人事業主とマイクロ法人を併用する手もありますが、

特段の事情がない限り本気でビジネスをされるのであれば、個人事業主は廃業して法人一本で行くべきです。

ビジネスが軌道に乗ってくれば個人で支払う所得税より法人税の方が明らかに少なくなるので。

(2)法人の種類

法人の種類として合同会社もしくは株式会社のどちらかを選択することになります。

どちらを選択するかは事業者の自由ですが、一般的に定款の自治が広く出資と経営が一致する合同会社はマイクロ法人などの小規模な事業に適しており、

一方で複数人で事業を展開する場合や将来的に会社の規模を大きくしていきたい場合には株式会社が適しています。

また詳しくは後述しますが、株式会社の方が設立登記費用は高くなります。

(3)法人化の手続き

それでは具体的な法人化の手続きを解説していきます。

まず大まかに法人の登記の流れを示した後に、ひとりで法人化する場合の手続きについて便利なツールなどご紹介していきます。

①基本事項の決定

まず初めに法人名、本店住所地、事業の目的、資本金の額などを決定し、定款に記載する基本的な事項を決定します。

②定款の作成と認証

基本事項の決定が完了したら次に定款を作成します。

注意点としては紙定款だと4万円余計にかかってしまいますので、定款は電子定款とすることをお忘れなく。

作成は一般的に行政書士に依頼し電子定款を作成します。

合同会社の場合、作成が完了した電子定款は自分でCD-Rに保存します。

株式会社の場合は、作成した電子定款を公証人役場で認証してもらう必要があります。

なお、認証に当たって予約方法は公証人役場ごとに異なります。詳しく最寄りの公証人役場に連絡しましょう!

③法人印鑑の作成

法人名が確定したら法人印鑑を作成しましょう!

ハンコの材質などで価格はピンキリですが、5,000円程度のもので十分です。

④資本金の払い込み

定款の作成が完了したら定款で決めた資本金の払い込みをしましょう。

注意点としては資本金の払い込みは定款作成日以降に行う必要があります。

また払い込みは発起人名義(=事業主名義)の口座に資本金相当額の入金記録を残します。

例えば、資本金が100万円の場合、一度100万円を引き出し、再度同じ口座に自らの名義で入金します。

⑤登記書類の作成

設立登記申請書、発起人決議書、就任承諾書等を作成します。

作成したら押印し、書類の作成は完了です。

注意点としては、登記書類は綴じ方が決まっています。

綴じ方の詳細なルールはこちら

⑥印紙の購入

設立しようとする会社の種類、資本金の金額によって購入する印紙の金額は異なります。

・株式会社の場合は15万円または資本金×0.7%の高い方

・合同会社の場合は、6万円または資本金の0.7%の高い方

⑦法務局に登記申請

登記申請書類の作成が完了したら法務局に書類を提出しましょう!

窓口でも郵送でもどちらでも良いですが、提出日が会社設立日となります。

郵送の場合は到着日付になりますのでご注意ください。

⑧おすすめツール

最後に登記書類をWordなどで最初から全て自分で作成するのは効率的ではありません。

何より専門知識がないと普通に間違うリスクも高いです。

とはいえ作成を専門家に依頼すると高額です。

そこでおすすめの便利ツールをご紹介。

freee会社設立マネーフォワード会社設立です。

定款などの法人登記書類一式を誰でもかんたんに作ることができる利用無料のサービスです。

必要書類を漏れなくかんたんに作成できます。おすすめです。


法務局に登記書類を提出すると、審査が1週間ほどあり、その後晴れて会社設立となります。

登記されたかどうかについては法務局から連絡が来るわけではないので、一週間くらいして会社名をネットで検索するなどして確認しましょう。

(4)法人設立登記後の手続き~個人事業主編~

登記が確認できたら、続いては各種書類の届出です。

①個人事業の開業・廃業等届出書

よく忘れられがちなのが、これです。

個人事業主の場合、開業届を出していますが、法人成りした場合は廃業届を出しましょう!

②所得税の青色申告の取りやめ届出書

法人成りによって個人事業を廃止する際は、一旦、青色申告の取りやめ、新たに設立した会社で青色申告を改めて提出します。

③給与支払事務所等の廃止届出書

個人事業主として従業員を雇っていた場合にはこちらの書類も提出しましょう。

④事業廃止届出書(消費税)

個人事業主として、消費税の課税事業者であった場合、こちらの書類も提出してください。

⑤所得税の予定納税の7月(11月)減額申請書

税務署から通知された予定納税額が多すぎるときには、それを減額してもらうためにこちらの書類を提出します。

(5)法人設立後の手続き~法人編~

①法人設立届の提出

法人設立届を下記の役所に提出します。

税務署(設立後2ヶ月以内)・・・フォーマットはこちら

都道府県県税事務所 (設立後1ヶ月以内) ・・・・フォーマットは各都道府県県税事務所に問い合わせください。

市区町村役場 (設立後1ヶ月以内) ・・・フォーマットは各市町村役場に問い合わせください。

なお、税務署に設立届を提出するときは「定款の写し」「登記事項証明書」「社員等の名簿」「設立時の貸借対照表」が必要です。

都道府県税事務所と市区町村役場に提出するときは「定款の写し」「登記事項証明書」が必要となります。

②青色申告承認申請書等の各種書類

法人設立から3か月以内に税務署への届け出が必要になります。法人設立届と一緒に提出してしまいましょう。

青色申告承認申請書はこちら

また下記の書類は設立第1期の事業年度の確定申告書の提出期限までとなっていますが、忘れてしまいがちなので、該当ある場合には設立届と一緒に出してしまいましょう。

・棚卸資産の評価方法の届出書

・減価償却資産の償却方法の届出書

・有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法の届出書

③印鑑証明書の交付と印鑑カードの作成

銀行口座の開設や賃貸契約などの際には必要になりますので、法務局で印鑑証明書をもらっておきましょう!

合わせて印鑑カードも作成しておきましょう法人の印鑑証明書の交付をうけるには、申請の際に添付します。

④登記簿謄本の交付

登記簿謄本も法務局で交付してもらえるので、印鑑証明書と一緒に交付を申請しておきましょう。

登記簿謄本(履歴事項全部証明書)は、銀行口座の開設や賃貸契約などの際に必要になってきます。

・各種申請書はこちら

・申請書の記載例はこちら

⑤給与支払事務所等の開設届出書

役員や従業員を雇い、給与を支払う場合には「給与支払事務所等の開設届出書」を1カ月以内に税務署へ提出する必要があります。こちらも個人事業主のときに提出していたものとは別に新しく法人として提出しましょう。

・届出書のフォーマットはこちら

⑥源泉徴収の納期の特例の承認に関する申請書

上記給与支払事務所等の開設届出書に関連して、従業員が常時10人未満の場合は、源泉徴収税の納付が月1回のところ年2回(7月と1月)にすることができます。

源泉徴収の納期特例は適用できる場合には必ず提出しましょう。

適用要件と申請書はこちらをご参照ください。

⑦労働保険関係の届出

従業員を雇う場合には、従業員が入社をした翌日から10日以内に労働保険への加入手続きをしなければなりません。

労働保険には「労災保険」と「雇用保険」の2種類があります。

「労災保険」は労働基準監督署に届出をします。従業員が業務上で労働災害を受けた場合に必要な保険給付を行うものです。

「雇用保険」はハローワークに届出をします。従業員が失業したり休業したりした場合に給付を行うものです。

⑧社会保険の加入手続き

法人には社会保険の加入義務があります。

社会保険には「健康保険」「介護保険」「厚生年金保険」の3種類があります。

社会の保険の加入手続きは、年金事務所で行います。

提出書類は「健康保険・厚生年金保険新規適用届」「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」「健康保険被扶養者(異動)届」の3つです。

新しく人を採用した日から5日以内となっているので、忘れずに加入手続きを行いましょう

⑨銀行口座の開設

法人を設立したら法人としての取引が開始されますが、個人との混同を防ぐために必ず法人口座を開設しましょう。

最近ではメガバンで実績の乏しい新規設立法人が口座を開くことは難しくなってきていますが、

個人事業主時代からの取引実績があれば法人化した場合でもメガバンでも口座を開くことは十分可能です。

一方で新規設立の場合はメガバンでの法人口座の開設は厳しいですので一旦ネット銀行で開設しましょう。

個人的におすすめのネット銀行はPay-easyに対応しているPayPay銀行楽天銀行と口座振替に対応しているイオン銀行です。

(6)法人設立費用

法人設立に関する費用は株式会社と合同会社で費用が変わってきます。なお、電子定款を前提にしています。

 株式会社合同会社
定款の認証手数料50,000円0円
定款の謄本手数料約2,000円0円
登録免許税150,000円
または
資本金額 × 0.7%
どちらか高い方
60,000円
または
資本金額 × 0.7%
どちらか高い方
印鑑作成費用約5,000円約5,000円
定款作成約5,000円約5,000円
その他経費約5,000円約5,000円
合計約212,000円約70,000円

(7)まとめ

法人化は、所得税や消費税の節税だけでなく社会保険料の節約などの観点から最近また注目を集めています。

法人化の手続きは専門家に頼らずとも自分一人でも十分手続きできます。一方で将来的に規模を大きくする場合や複雑な株主構成や議決権を制限するなど複雑な機関設計や定款記載事項にするなどの場合には専門家に相談する方が良いです。

またこのような相談については税理士は会社法に詳しくないことが多いので行政書士や司法書士、公認会計士が良いでしょう。

ビジネスはスタートが肝心です!スタートダッシュでライバルに差をつけましょう!